【九州北部豪雨災害2017】活動ストーリー 3
【災害と地域住民】
「朝倉市杷木 永野さん」
私が初めて永野さん(81歳)に被災したご自宅でお会いした時、永野さんのお話が6割程度しか理解できませんでした。聴き慣れない方言のせいもあったかもしれませんが、まだ気持ちが落ち着いていなかったのか、話の内容も少々混乱していました。筑後川沿いで独り暮らしをしている永野さんの自宅は、今回の豪雨災害で1階が全て浸水しました。私たちが訪問した時は、家財と床板も全て取っ払われ、泥が掻き出されていた状況でした。
自宅はとても住める状態ではなく、現在も避難所生活が続いています。泥かき作業の時に打った肋骨の痛みと作業から出る粉塵のせいで咳も出始める中、避難所では周囲の声が気になって眠れないなどの睡眠障害を訴えていました。骨折が心配だったので、病院でレントゲンを撮るよう勧めましたが、家の片付けを優先したいあまりになかなかそのような気持ちになれないと訴えていました。その日はちょうど福岡市から看護師のボランティアが参加していたので、早速、打った部分に湿布を貼ってあげたことをきっかけに、永野さんの気持ちも少しずつ和らいでいきました。
先週末(8/12)、作業に訪れた時には、ちょうど水俣市から息子さんが帰省したので、やっと病院に受診することができ、骨折していないことが分かりました。その日は、一日息子さんも一緒に裏の畑で泥かきをしました。作業をしながら、息子さんが9歳の時にお母さんが亡くなり、永野さんが薬局を営みながら、今の自宅で二人の子供達を育て上げたお話などを聞きました。
また週明けにお会いした時、今までにない笑顔で迎えて下さったので、聞いたところ、その翌日、息子さん一家が総出で、家の片付けを手伝ってくれたそうです。気持ちがとても落ち着いたせいか、気づくとだいぶ分かり易く話してくれるようになっていました。このようにして、日々、地域の方々と一緒に作業していると、気持ちが通じ合い、お互いに励まされています。